2004-12-31 Sancta Nox,Placida Nox.
2004-04-19 もう、やめる。
2004-02-29 玉葱のタルト。
2004-02-26 [cahier du cinefil]
2004-02-22 朝市　〜marche BIO〜
2004-02-19 [cahier du cinefil]
2004-02-18 MBVと天国へ。
2004-02-17 [cahier du cinefil]
2004-02-13 その隙間を、何で埋めよう。
2003-12-31 Bonne annee.

気がついたら一年が終わっていた。
そんな年でした。



肉体に精神が宿っているのか、精神を物質化したものが肉体なのかわかりませんが、わたしの場合、肉体が精神に引きずられることの方が多いように思います。
その証拠に（？）、夏の定期診断では×をもらってしまい、せっかくの日本の夏を病室で過ごしてしまったり、気管支の調子もずっと良くならなかったり。
ちょっと転地療養してみれば、落馬して腕を骨折したり。
散々だわ、本当に。

仕事方面ばかり波に乗って、というより高波に浚われたようなものですが、進んでしまい、今にも溺れそう。
溺れそうなのに、遠目には遊んでいるようにしか見えない、あの状態らしく、くだらない意地悪をされたり。
岸辺に熟練のライフセイヴァーがいてくれたことに深く感謝。
恋愛の才能の持ち主なら、恋してしまったことでしょう。

こちらでやさしい言葉をかけてくださった皆さまにも、強く深く感謝しています。
やさしい言葉さえ受け止めらなかった数ヶ月前の自分を嘆きつつ、遅くなりましたが、ありがとうございます。




「きよしこの夜」が、小さな頃からとても好き。
メロディも、歌詞も。
英語でもフランス語でもラテン語でも、もちろん日本語でも、とてもきれいな歌。
最後の、”ねむりたもう　ゆめやすく”のところは、フランス語だと”C'est l'amour infini”となるのが良い。
”限りない愛”だなんて。



少しでもすっきりとした気分で新年を迎えたくて、大晦日だというのに朝からヘアサロンへ。
１５センチほど切ってさっぱり。
ちょうど、一年分？
今年の憂いを切り落としたような。
せめて気分だけでも。

夜はライフセイヴァー氏も演奏するコンサートへ。
そろそろ支度をしなくては。




Je vous souhait une tres Bonne annee!
良いお年を。
皆さまのご多幸をお祈りしています。

つっこみ 先頭 表紙

もう、やめる。
今度こそ、絶対に。

髪を黒く染めるのも
行きもしないスポーツクラブを更新するのも
夢のような素材ばかり仕入れるのも
苺のタルトを選ぶのも
下着の衝動買いも
化粧品で冒険するのも
診察をキャンセルするのも
元気そうに振舞うのも
抱えている問題を茶化してごまかすのも
嘘をつくのも

「深刻ぶるなんて」って、思ってた。
でも、考えるべき時に考えてこなかったから、直面するべき時にしなかったから、今でも引きずっている。
うまく枯れずに、根腐れしてしまった。


受容と承認。
唱えよう。何度でも。
受容と承認、受容と承認、じゅようとしょうにん。


「きみはつめたい人間だ」
そう、父にいわれたとき、驚いたけれど、パズルのピースが在るべきところに嵌まったかのように、その言葉はすとんと納まった。
それと同じ。
受容して承認してしまえば、これほど楽なことはない。
思い出したよ。





だから、もうやめる。
真夜中のポテトチップスも、
あたたかくつめたい、三月の沼に沈んだままでいることも。

つっこみ 先頭 表紙

寒い朝。
出掛けに少しだけ雪がぱらついていた。


ランドリーの帰りに寄ったので、今週は少しだけ。
まだ、先週買った野菜が残っているし、外で食事をする予定もいくつかあるし。

チコリ、茸、パセリとローズマリー。
フレッシュ・ブルーベリーとドライ・ブルーベリー。
それからやっぱり、タルト。
南瓜のとポワロー葱のと……






玉葱のタルト。
さくさくしたタルト生地に、よく炒めて甘みの出た玉葱をのせて焼いたそうです。
甘みを引き出すために、少しだけ塩をふってあるとのこと。

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【Buongiorno,notte】★★★
Marco Bellochio監督、Maya Sansa主演。
1978年、イタリアで起きた、テロ組織『赤い旅団』によるアルド・モーロ誘拐事件。その始まりから終わりまでを、組織の一員である若い女性の目から綴った作品。
大変な映画を観てしまった、という一言に尽きた。
自由か死か。
思想か生活か。
公か私か。
極限の選択を迫られることなく、個人の幸福を追求して生きていられるって、幸せというか、幸せに鈍感になるというか。
大義のために生きるというのはしんどい人生だろうなあ。
テロリストにせよ、政治家にせよ。
冒頭、真っ暗な室内に少しずつ光りが入り、Mayaの貌が照らし出されていくシーンで、一気に引き込まれた。
Maya Sansaの瞳がとにかく雄弁で素晴らしい。

【Blueberry】★☆☆
Jan Kounen監督、Vincent Cassel主演。
アメコミ原作のウエスタン映画。
Jan Kounenとは、どうにも合わないらしい。
少しも面白いと思えないのだったら諦めもつくが、それなりに面白いのに、一番盛り上がるはずのシーンで醒めてしまうのが辛い。
主人公の義兄（？）Runi役のTemuera Morrisonが格好いい。
そういう、キャラクターの格好良さを楽しむ映画なのかも。

【Violence des echanges en milieu tenpere】★★☆
Jean-marc Moutout監督、Jeremie Renier主演。
何というか…、夢も希望もないリアルな映画。
パリが舞台、という設定から連想されるであろうものとは、おそらく無縁なのではないかと。
『Lost In Translation』でも喪失感、諦観のようなものが描かれていたが、ソフィアの場合、小道具立てにファンタジーがあった。
一切のファンタジーを排除されてしまうと、観ていて心が疲弊する。
と言いつつ、とても好きな映画。
フランス映画らしいと言えば、そうかもしれない。
『イゴールの約束』のJeremie君がこんなに立派になって……と、ちょっとしんみりしたりもした。





UGC MONTPARNASSE

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そろそろパリが一年で一番賑わう期間のうちのひとつが始まる。
それに伴い、わたしの仕事もようやく一段落ついたというところ。
来年度学校に戻るかどうかも、決めないといけない。



今朝は、本当にひさしぶりに最寄りの朝市へ。
外食だの買ってきた総菜だのアトリエの隅っこで作業の合間に頬ばるサンドウィッチだの、そんな食事ばかりだったのを反省しつつ、籠いっぱいに野菜と果物を買った。
玉葱、じゃがいも、カリフラワー。
茸、生姜、りんご、洋梨、グレープフルーツに芽キャベツ、いんげん。
にんじんは、柔らかい葉のついたままで。
オーガニック野菜だからか、とても強い香りを放っている。

それから、フロマージュ・ブランとヴェルヴェーヌ茶も。
南瓜やポワロー葱、玉葱のタルトを、それぞれひとつずつ。
ひと塊のベーコンを忘れずに。






籠城できそう！

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【Dracula】★★☆
カナダ・ロイヤル・ウィニペグ・バレエによる、ブラム・ストーカー「吸血鬼ドラキュラ」のバレエ映画化。
２００２年に制作されたようだが、映画創生期の無声映画風の演出が施されていて面白い。
画面は白黒なのだが、血色と人間の生気のようなものだけ彩色されている。
薔薇の棘で傷つけた指先に血が膨らむ様子や、輸血治療後のルーシーの頬に血の気が戻るシーンが印象に残る。
ドラキュラ伯爵は中国人ダンサー。
それにしても、吸血行為ってエロティックだ。

【Peter Pan】★☆☆
こどもに安心して観せられる映画としては★★★。
ピーターを初め、子役の配役が良くて原作のイメージにぴったり嵌っている。
特にジョンとマイケルが。
リュディヴィーヌ・サニエのティンカー・ベルは微妙。
可愛くないのは良いのだけど、表情が下品というか、無理に面白くしようとして滑稽な感じ。
『スイミング・プール』は良かったのに、残念。

【Lost In Translation】★★★
別記事に書いたとおり。
日本語の台詞に字幕がつかないのだが、日本語を解さないひとが鑑賞して、どう感じるのかなあ。

【Nathalie...】★★☆
アン・フォンテーヌ監督、ファニー・アルダン、エマニュエル・ベアール、ジェラール・ドパルディユー出演。
夫の浮気を知った妻が、商売女を遣って、自分の知らない夫の貌を知ろうとするのだが、実は……、という話。
誰だったか忘れたが、映画監督だか俳優だかが、「恋愛映画の登場人物の年齢が高い国ほど文化が成熟している」とかなんとか言っていたのを思い出した。
と、言うものの、この映画は恋愛映画ではないのだけど。
それぞれ何かを失った（もしくは最初から）、空手の女ふたりの交流。
暖かいものではなく、乾いたもの。
エマニュエル・ベアールがとにかく哀れで、良かった。
４０歳なんてびっくり。






LE SAINT-GERMAIN-DES-PRES

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『Lost in Translation』を観たあと、当然のようにサントラ盤を買い求めた。
この３ヶ月ほど、ロンドン時代のアシュケナージがブームで、特にラフマニノフのプレリュード集を聴いていた（そして、当時のロンドンに思いを馳せていた）のだが、このサントラ盤が新たなヘヴィ・ローテーションになるかと思いきや、結局、下の方から引っぱりだしてきたMy Bloody Valentineを聴いてばかりいる。


ふわふわと甘く、きついお酒のような。
いや、きついお酒のように効く、甘いふわふわとした何か、かもしれない。
やはり口当たりの良い、甘い煙のドラッグに例えたひともいた。
わたしはそれを知らないけれど、なんとなく頷ける。

この天国は、その反対にあるものと背中合わせ。
それでもかまわない。







ところで。
ソフィアがどうやってケヴィンに新曲を（それも、４曲も！）提供させたのか。
それが気になって仕方ないんですけど！

"Loveless" 1991

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昨年の初めまで、友人が運営するサイト、メーリングリストに映画のごく個人的な感想をアップしていたのだが、ここ２年ほど、あまりに更新の頻度が低くなっていため、無期休止にした。
休止してからこちら、鑑賞した映画について、タイトルすらメモして取っておらず、そのため昨年はどんな映画を観たのかほとんど分からなくなってしまった。
メモ書き程度になるが、こちらに残そうと思う。



【GOTHIKA】★☆☆
マチュー・カソヴィッツ監督、ハル・ベリー主演。
ホラー映画のヒロインに求められるものは何か、というと、恐怖に怯え苦しむ顔が美しいか、魅力的かどうかにほかならない。
ハル・ベリーは戦う姿は魅力的だが（かの『タービュランス』でさえ、ハル・ベリー自身は素敵だった）、戦いようがなく痛めつけられたハル・ベリーはイマイチ。助演のペネロペ・クルスが良かっただけに残念。
女の子の○○、という設定にはちょっと食傷気味。
ロバート・ダウニーJrは良かったけど。
マチュー・カソヴィッツ、『Les rivieres pourpres2』の方を撮ってくれれば良かったのに……。

【Le sourire de Mona Lisa】★★☆
（原題：Mona Lisa Smile）
マイク・ニューウェル監督、ジュリア・ロバーツ主演、キルスティン・ダンスト助演。
『いまを生きる』の女子大生版。キャプテン、マイ・キャプテン！
女性向け。泣いた。
フランスでは珍しく（？）女性同士の観客が多く、終演後拍手が上がった。
キルスティン・ダンストが良い。
意地悪な貌や高慢を崩される時の貌が特に良い。

【Massacre a la tronconneuse】☆☆☆
（原題：The Texas chainsaw massacre）
不朽の名作『悪魔のいけにえ』から３０年目のリメイク。
元作品では、『１』は傑作、『２』は怪作、『３』はアイドル・ムーヴィー（個人的に）なので、リメイク作品は『３』よりは面白ければ十分！と思っていたが、全然ダメだった。
『１』では、狂い咲きの如く輝ける、狂気そのものが撮し取られていた。
『２』では、デニス・ホッパーの切れた演技が他を圧倒していた。
『３』では、監督したジェフ・バーの手によって、独特の美しい画面（というか、若きヴィゴ・モーテンセン）が観られた。
監督がマーカス・ニスペルなので、ちょっとだけ期待していたのだけど、良くも悪くも「ふつう」のティーンズ・ホラー。
残念だけど、仕方ない。
トビー・フーパーが神なだけ。





UGC ORIENT EXPRESS

先頭 表紙

舞台は東京。
孤独感と疎外感に包まれ、人生の迷子になったような気分のふたりのアメリカ人が偶然出逢い、惹かれ合い、励まし合い、そして……。
よくある筋立て、陳腐と言っても良いストーリィなのだが、監督のソフィア・コッポラの演出には、それをおちょくるというか、そんな不意に道を失ったような感覚などよくあること、と流して笑うような軽さを感じた。
そしてその感覚は、ちょうど良い浸透率でわたしに浸みた。

そう。
人生において空しさ寂しさなどちょっとしたことに過ぎないのだ。
ただし、絶え間なくやってくる。

例えるなら、少し痛み始めた髪の毛先のようなもの。
パックでもコンディショナーでもヘア・クリームでも、なんでもいい。
キューティクルの剥がれかけた部分を埋めてやればいい。
どうせ髪が伸びれば切り落としてしまうのだもの。
持たせるのは、少しの間だけで構わない。
心の隙間だって、同じ。
孤独感も疎外感も空しさ寂しさも、眠れない夜も。
埋めて、コーティングして、やり過ごせばいい。
少し時間が経つまで。
それだけだ。
それを続けるだけ。

何で埋めるか。
埋め続けられるか。
問題はそれだけ……。



ラストの、高速に入る時に映る「目黒」の文字にじんわり来た。
続いて映し出される不二家の電飾やプランタンにも。
というより、この映画で描写される「東京」のすべてに。
昼も夜も。
わたしにとっては、とてもリアルな、故郷としての東京で、なんだか嬉しかった。
それにしても、知り合いの男の子が映っていてびっくりした！







映画『Lost in Translation』について、少しだけ。
BGMは、今回もサントラに参加しているAIRの『TALKIE WALKIE』。

♪Winter time will be gone you will be by my side♪
鼻歌を歌いつつ。

先頭 表紙

２００３年も、もう終わり。
５年目のフランス生活も、そろそろ終わり。

こんなものかな、と、思わなければいけないような気がするほど、わたしは恵まれている。満足と諦観を、自分のものにしなければいけないのかもしれない。
それができないのは、心底、貪欲にできているから。
あと一歩先に、何かもっと良いものがあるように思えて仕方ないから。
でも、強く欲さなければ得られない。
元々がgiftedじゃないのだもの。
欲して望んで、力を尽くさなければ……



今日はこれから友人が昼食を食べに来て、夕方からは森の近くの、恩師のヴィラへ。
朝イチで行ってきたパン屋には、新年を祝うための品があって、それを買った。
夜の集まりのために菓子屋で詰め合わせを作ってもらった。

昼食のために昨晩からブッフ・ブルギニョンを準備したせいで、部屋中がワインの匂いで満ちていて、ちょっと幸せ。
チーズは、胡椒の香りをつけたブリーとMarc de raisinをまぶしたトムを、昨日から出してある。
やどり木を丸く仕立てて、キャンドルを飾って。

今年は準備万端？




それでは、
みなさん、良いお年をお迎えください。

先頭 表紙